「洋紙と用紙」第27回「新聞の用紙」(その1)
新聞の用紙(その1)
国産の新聞用紙の歴史は、明治初期にさかのぼることになりますが、その後の幾多の変遷を経て現在の新聞用紙に到りました。安心して読める新聞、その素材が新聞用紙といえるでしょう。
新聞製作は膨大な一貫作業
新聞の用紙は、毎日の発行を保証する安定供給がなにより求められます。新聞発行に対しては、紙の側からも安定供給をふくむ一連の体制を築いてきました。
新聞用紙専用の原料―専用抄紙機―新聞巻取紙―メーカーの倉庫―専用の輸送・配送ルート(船・貨車・トラック)-倉庫―新聞巻取紙専用のトラックー新聞社・輪転印刷機―発送―取次店―配達―購読者、が新聞が読者に届くまでの概略ですが、紙は前半が勝負どころです。
新聞用紙の規格
洋紙の単一銘柄で、一番多く使われているのが新聞巻取紙。洋紙の出荷高全体の約18%を占めます。JISで規格化されていることもあって「専用」化が可能であり、量産そして敏速な納品もできるのが特徴です。
新聞用紙の基準寸法は813mm×546mmです。この寸法の紙1000枚を基本単位として、制作上の各種計算や価格設定、売買、納品などが行われます。
このサイズ―1枚は、新聞4ページ分に当たり、普通の新聞を広げた大きさになります。駅売りなどで見かける夕刊紙はタブロイド版といい、基準寸法から8ページ分取れますから普通の新聞の半分の大きさになります。
新聞巻取紙のおもな規格
新聞を印刷する用紙は全部巻取紙です。新聞用紙の分類上の正式名称は「新聞巻取紙」といいます。巻取紙は寸法、入数でA~Eの5種類に分けられます。
つぎに述べる各巻取紙は、0.888m2の面積を基準とします。つまり、基準寸法の 813mm×546mmの面積0.444m2を基本に、その2倍で設定されています。
各巻取紙の規格は表のとおりですが、つぎに問題になるのは入数です。入数は、あくまで規格寸法の813×546の面積を基準とします。紙の全長を各巻取紙の縦寸法で割ると入数が出ます。紙幅が広くて縦寸法の短いA巻が一番入数も多いことになります。次いでC巻、B巻、D巻、E巻の順になります。余談ですが、新聞巻取紙に巻き込まれている紙の長さは、だいたい1万mです。
なお、新聞用紙の売買は、連建て制を採用しています。
表 新聞巻取紙の主な規格
寸法(mm) | 解説 | |
A巻 | 1626×546 | 基準寸法を横長に2枚分 |
B巻 | 1092×813 | D巻の逆寸法 |
C巻 | 1219×728.3 | 紙幅は813+406mmと半端だが、縦寸法で調整され、面積そのものは基準寸法の2枚分。ただし、728.3mmの寸法は、実際の数字には該当しない |
D巻 | 813×1092 | 基準寸法を縦に2枚分 |
E巻 | 546×1626 | A巻の逆寸法 |
(その2に続きます)