「洋紙と用紙」第28回「新聞の用紙」(その2)
「新聞の用紙」(その2)
(その1の続きです。)
用紙の軽量化と重量表示
新聞用紙は省資源・省エネルギーに端を発して軽量化が進み、現在では坪量46g/m2を超え、43g/m2が一般化しています。ページ建ても32ページが一般的(朝刊)となり、40ページもすでに採用されています。
用紙の軽量化、すなわち紙が薄くなることは新聞業界の要望でもあります。情報量が増え、新聞の文字が大きくなるとページ数を増やさざるを得なくなりますが、今度は配る人の負担問題が発生します。また作業性や輸送問題もあります。軽量化はこうした期待を背負い、薄くなることにともなう品質問題も改善しながら、進行しています。
坪量が下がったことにより、連量も19kgが主流になりました。巻取紙の重量では、A巻1本の入数を50連として計算すると、1本の重量は950kgとなります。
軽量化が進んだとはいえ従来紙も使われていますから、区分けをする必要があります。そこで、いちいち坪量を言うかわりに呼称が使用されています。坪量46gは軽量新聞用紙で「L」をもって表し、49gは普通新聞用紙で「S」、その上の51.8gは重量新聞用紙として「H」を使っています。レッテルなど印字の色分けは、Lは青、Sは緑、Hは赤となっています。
新聞巻取紙の供給
供給体制を知るために、一九九六年の新聞巻取紙の生産高順位(メーカーは9社)をあげておきますと、順位は1位が王子製紙、2位日本製紙、3位大王製紙、4位大昭和製紙、5位丸住製紙。生産高はこの5社で90%。ちなみに、6位以下は中越パルプ工業、兵庫製紙、大阪製紙、北上製紙となっています。(日本製紙連合会『紙統計年報』)。
(注 2018年現在では、大昭和製紙は日本製紙と合併、大阪製紙は新聞用紙の生産をやめており、北上製紙も事業撤退を発表しています。)
新聞用紙の販売ルートの確立
新聞用紙は、用途が専用化しているだけでなく、販売ルートも独特の体系になっています。その様子を、ルーツも探る意味をふくめて『王子製紙社史―戦後三十年の歩み』に求めました。
同社史では「新聞巻取紙の販売ルートは一般紙と異なり、メーカーが新聞社に直売する方式をとっている」「戦前からの方式ではない。二十三年(筆者注・昭和)の取引高税施行にからむやりとりから生まれた妥協の産物であった」と発端を述べています。さらに、取引高税は各段階で課税されるところから、新聞社、メーカー、代理店は販売方法をめぐって交渉が難航したことを伝え、そこで「大蔵省は、新聞社側の希望を入れてメーカー、新聞社は直接売買契約はとりかわすが、この間の連絡、事務の手数料をメーカーが代理店に支払うという妥協案で、一件は落着をみた。取引高税そのものは間もなく廃止されたが販売ルートはそのまま今日に至っている」と新しい販売形態が確立されたいきさつを語っています。こうした委託販売方式は、一九九五年三月をもって基本的に中止され、現在は文字通りメーカー・新聞社間の直売方式に移行しています。
(この項終わり)