第9回「『縦目』『横目』はどう決まる」
「縦目」「横目」はどう決まる
紙の目が、印刷や製本などに大きく作用することは前回述べました。
目のことをよく理解しておくほうが、使用するうえでなにかと便利です。ここでは紙の「縦目(たてめ)」「横目(よこめ)」について述べます。
「縦目」「横目」の設定
はじめに、JISを引用します。JIS・P0202『紙の原紙寸法解説』の2.1の項では、次のように解説しています。「紙には縦方向と横方向とがあり、縦方向とは、すかれた紙の繊維の流れの方向をいい、横方向とは、すかれた紙の繊維の流れに直角の方向をいう。紙の寸法において、紙の縦方向に長辺をもつように取るのを“縦目取り”といい紙の横方向に長辺をもつように取るのを“横目取り”といっている。たとえば、A列本判について考えれば、紙の縦方向に880mmを、横方向に625mmを取るのを“縦目取り”といい、紙の縦方向に625mmを、横方向に880mmを取るのを“横目取り”という」としています。
もう少しひらたくいうと、紙匹(しひつ・長いままの紙)を平判に仕上げる場合、紙の一般的な仕上寸法に正方形がないので、必ずどちらか一辺を長く取ります。平判に仕立てた場合、繊維の流れを軸とし、紙幅(横寸法)が縦寸法より短い場合を「縦目」、長い場合を「横目」とします。紙匹のどこを取っても、繊維の流れを基準(軸)とします。
図1は、紙匹から平判をとるとき、取り方によって「目」が変わる例です。
表示方法
紙の寸法を書くときは、「紙幅×縦寸法(流れ)」と紙幅を先に指定します。この書き方は統一されたものです。
たとえば、B判の包装紙のレッテルが「765mm×1085mm」と記載されていればB判の縦目、「1085mm×765mm」となっていればB判横目を表します。
目と名称表示
主な規格寸法には、A判、B判、菊判、四六判、ハトロン判といった名称があります。寸法を名称で表示するときは縦目か横目かを明示します。そのとき縦目を「T」、横目を「Y」と略して書くこともあります。縦目、横目を略称で書くときや読むときは、約束ごとに従います。
書くとき……A判縦目はA/TまたはAT、四六判は4/6T、4/6Y、菊判は菊/Tなど。
読むとき……言葉で伝達するときは、名称だけでは目を指定したことにならないので、必ず名称のあとに目を指定します。たとえば、「四六判縦目」などと。
新書判には規格寸法がないので、数字を読むことになります。
A4、B4サイズにも目があります。カット判なので普段はあまり気にしないですみますが、用途によっては目を選んだほうが良い場合があります。
たとえば、PPC用紙(普通紙タイプのコピー用紙)などは複写機によって目を指定しています*。また、B4などは印刷してから二つ折りにして使うこともあり目の作用は無視できません。