第10回「洋紙の取り扱いによく出てくる単位(その1)」
洋紙の取引には、独特の単位や計算方法が使われます。おもな単位について、若干の説明を加えてみました。
洋紙の取り扱いに使われる単位としては、これから述べるようにいくつかありますが、なかでも基礎となるのは「面積」と「重量」です。「面積」は紙を使うときに、また「重量」は商取引上欠かすことのできない単位として使われます。このことをまず強調し、各単位の説明に入ります。
寸法
寸法を先に上げたのは、面積を表す順序として最初に寸法があるからです。
寸法とは、紙幅と紙の長さのことですが、実際には紙の面積を表したものとして使っています。
寸法の単位としては、洋紙はミリメートル(mm)、板紙にはセンチメートル(cm)を用います。
寸法を表すうえでの約束ごとは、先に横寸法(紙幅)、あとに縦寸法(長さ)という順序で読み書きします。
たとえば、図3のようにA判縦目の寸法を数字で書く場合は625mm×880mmとなります。先に書かれた数字がつねに横寸法、あとの数字が縦寸法となります。
また、880mm×625mmと表示されている場合は、紙幅の寸法が縦寸法より多いという約束ごとにより、A判横目を表したことになります(図4)。
巻取紙の表示方法には、別の約束ごとがあります。
紙幅の書き方は平判と同じですが、違うところは縦寸法を( )でくくり、平判と区別している点です。たとえば、「765mm×(1085)mm」と書いてあれば、寸法はB判縦目、そのうえ( )によって巻取紙を示したことになります。
巻取紙は長い一枚紙ですから、( )内の寸法に切ったとしての意味になります。なお、通常はmmの記載を略します。
紙の面積
紙を使用する場合、まず面積を確認しなければならないところですが、実際には面積までいちいち確認することはなく、縦横の寸法を確認することによって使用する紙のサイズを決めているのが一般的です。しかし、いざ計算となると面積が主役として登場します。とくに「坪量(つぼりょう)」や「連量(れんりょう)」など重量に関する計算には面積が必要となります(例題参照)。
面積の単位には平方メートル(㎡)を使います。寸法にミリメートルを使いながら、面積を平方メートルで表すため、計算上勘違いしやすいところです。
例題
坪量64gの紙はA判では何gになるか。また、連量は何kgになるか。
解き方
坪量64gは1㎡あたりで64g。A判の寸法は「625×880」ですから、面積は0.55㎡となり、見当では、A判は1㎡の半分強の面積といえます。
計算式
坪量 64×0.55=35.2g A判1枚あたり35.2g
連量 35.2×1000=35200g=35.2kg
1000枚あたり35.2kgで連量は35kg=〈35〉
★約束ごと 面積は平方メートルを単位とし、小数点4位を四捨五入して3位でとどめる。
坪量
一般に、坪量の少ない紙は「軽い紙」あるいは「薄い紙」、坪量の多い紙は「重い紙」あるいは「厚い紙」と言われます。
坪量とは、紙および板紙の重量を表示するとき、一定面積(図5)当たりの重量をいい、表示方法にはg/㎡を使います。実際には1㎡の面積の紙1枚の重さをグラムで表したものです。
正式な名称には坪量を使いますが、同じ意味合いの使い方に「メートル坪量」略して「米坪(べいつぼ)」、「単位重量」などがあります。昔は坪量を別名「尺坪」と言っていましたが、昭和34年1月にメートル法が実施され、「尺」が「メートル」に変わり現在に至っています。
約束ごと……坪量はg/㎡を基準とし、小数点2位を四捨五入し、1位でとどめる。
(つづきは、その2として来月掲載いたします)