「洋紙と用紙」第30回「トイレットペーパーとティッシュペーパーの違い」その2

前回の続き

ティッシュペーパー

衛生的で柔軟性があり、破れや穴などがないのはトイレットペーパーと同じですが、違いは水を含んだ状態でなお強さがあること。ほぐれては用を足さないからです。

ティッシュペーパーが日本ではじめて生産されたのは昭和28年のことですが、普及しはじめたのは昭和37~38年頃とされます。原料にはすべてバージンパルプを使い、製品をコンパクトに包装するなど近代的な仕様もイメージアップを喚起し、急速な伸びをもたらしました。

JISにはティッシュペーパーに関する適用範囲が示されています。JISは市販されている箱入りでドライクレープ(柔軟性をもたせるためのシワ)をほどこしたものを対象とし、大部分が贈答用に使用されるポケットティッシュは対象外とされています。

JISの適用は、2枚重ねの平判に限定し、1箱の枚数も300枚(150組)と400枚(200組)の2種類とし、紙の大きさではそれぞれL(450㎠以上)とS(420~450㎠未満)を対象に標準化してあります。

 

違い

双方の違いの特徴としては、トイレットペーパーは水にほぐれやすいこと、ティッシュペーパーは水を含んでもほぐれずに強さを保っていることがあげられます。

紙を構成している繊維それ自体は水に溶けません。水中でバラバラにほぐれると一見溶けたように見えますが、その水を濾紙などでこしてみると繊維そのものは残っていることが分かります。トイレットペーパーは、使用後水にほぐれるこの性質を生かしています。ティッシュペーパーは、繊維が水に溶けない性質を生かし、さらに水を含んでもほぐれない加工をしてあります。ティッシュペーパーを水洗トイレに流さないよう注意書きしてあるのは、水中でも強度を保っており、詰まる原因になるからです。ティッシュペーパーが手元になかったからといって、トイレットペーパーで濡れた物を拭いたりすると、乾いたあとで白っぽい繊維が残ったりします。使い方として、良い例とはいえません。

双方とも、それぞれ用途にあった仕様になっていますから、要は使い方次第でしょう。

余談ですが、日本のトイレットペーパーやティッシュペーパーの品質は、世界のトップレベルにあります。日常慣れ親しんでいる関係上、世界のどこでも同じであろうと気楽に考えていると、思わぬ苦労をすることになるかも知れません。肌身離せないものほど取り扱いを大切に。

(この項おわり)

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